究極な共産主義経済
値がつかずに困ってしまっている静岡県の特産 桜えび。
この桜えび漁は、世界にも類を見ないプール制を採っています。
それについては、この記事を読んでください。 ←
つまり、漁の分け前を均等に分けるシステムなのですね。
たくさん獲ろうが、少し獲ろうが、休もうが、3つの漁協に所属する 120隻の船全部に、その日獲れた漁獲量を均等に割り振るのです。
具体的に言うと、予め、実際に獲る船を決めておきます。
獲らない船は、一応、港に待機するのですね。
そして、その夜に獲れたすべての桜えびは、港で待機していた船とともに海上で均等に配分されて、そうして一斉に入港するのですね。
つまり、一生懸命働いても、テキトーに働いても、富は均等に分配されるという共産主義経済なのです。
旧ソ連は、一生懸命働いても、テキトーに働いても同じなら、テキトーに働こう・・・ということになって国が崩壊しました。
しかし、日本人は、基本的に働き者なので、職場に出れば本能的に一生懸命働いてしまう国民性なのですね。
だから、こうした共産主義経済が成立するみたいです。
こうして管理されたプール制という漁法は、資源確保と価格の安定化に寄与してきたのです。
ところが、近年、その駿河湾の桜えびが 富山の白エビ とともに 全国的に紹介されると 注文が殺到。
一気に、値が吊り上ったわけです。
しかし、それは一過性のブームということなんですが、実際に漁をする人は、その味が忘れられないようです。
つまり、バブル期直後の日本みたいなものです。
バブル期の味が忘れられず、「もしかしたら・・・」と、その再来を夢見たものでした。
今の桜えび漁は、そんな感じではないでしょうか ?
実際には、また、元の値段に戻ってしまったわけですね。
しかし、獲る側としては、本当の桜えびの価値は、もっと高いと思いたいのではないでしょうか。
それが、最低価格 (指し値)の設定になってしまったと思うのです。
しかし、漁民が希望する最低価格と、実勢価格とは大きな開きがあったのですね。
そこで、最低価格の設定をするのなら、いっそうのこと定価を決めてしまったらいかがでしょうか ?
そうすれば、「プール制」とともに「定価」ということで、完全に価格が安定すると思いますよ。
つまり、定価だからといって たくさん獲って儲けようとしても、プール制があって 予定漁獲量を決めてしまうのですから、それが出来ないわけですね。
もちろん、定価と言っても毎年変動していて、経営者と組合側がその年の賃金を決めるように、売り手と買い手が、予め、その年の価格を決めてしまうのです。
そうすれば、こうした「不成立」などという問題は起こらないし、末端消費者にも分かりやすいと思います。
とにかく、桜えびを希少価値にしてもらいたくはないですね。
かといって、「ながらみ」みたいなことになってしまったら、困ります。
もちろん、実際は、そんなに簡単なものではないでしょうが・・・。
【追加】
そんなことを記していたら、この問題で、漁業者側が最低入札価格の設定を取りやめることで合意したそうですよ。
2日の話し合いで、漁業者側が最低入札価格を取り下げる一方、新たな試みとして進めている活きエビの活用に関して、仲買人側でも協力するということで合意したようです。
売るほうも買うほうも、協力して良い方向に向かってもらいたいですね。
最近のコメント