『船を編む』
世界の本のベストセラー・・・と言えば、「ハリー・ポッター」シリーズ ?
いえいえ、本の世界一は『聖書』なんだそうですね。
今まで何冊売られたのか、計測不能なほどのベストセラーなんだそうです。
では、今までに日本国内で売れた本のベストセラーは ?
この答えを、衛星放送の一つ、テレビ東京系の BSジャパンで紹介していました。
・・・なんと、累計 1億冊を超えているのだそうですよ。
その日本のベストセラーである「国語辞書」の編纂の様子を描いているのが、昨年公開された映画『船を編む』。
どうやら、来る 6月 6日に、BSジャパンでこの映画を放映するようですが、このテレビ番組は、その「前触れ」番組みたいですね。
それにしても、この番組は2時間という長尺でしたが、面白かったです。
メインテーマは「語釈」 (ごしゃく)。
広辞苑によれば、「語釈」とは「言葉の意義の解釈」ということで、ますます分からないですね。
簡単に言えば、言葉を定義するということなんでしょうか。
そこで、今回は、日本を代表する国語辞書の編集者が集まり、「サミット」を開くという形式で、互いの辞書の「語釈」の違いを話し合うと言うということで、『広辞苑』 (岩波書店)、『岩波国語辞典』 (岩波書店)、『三省堂国語辞典』 (三省堂)、『新明解国語辞典』 (三省堂)、『大辞林』 (三省堂)、『日本国語大辞典 全十三巻』 (小学館)、『明鏡国語辞典』 (大修館書店)、の辞書編集者が一同に会していました。
このなかで、一番売れているのが 三省堂の『新明解国語辞典』で、なんと累計 2千万冊を超えているんだそうです。
そこで、まず最初に取り上げた「サミット」のお題が『恋』。
『恋』という一文字を比較するだけでも、それぞれの辞書の特徴や個性が現れていました。
また番組では、語釈を決めるまでの努力の様子が紹介され、非常に面白い番組内容でした。
それから、辞書の中で描かれているイラストが生まれる様子も紹介していましたよ。
分かりやすくするために、ドットで記しているのですね。
とくに面白かったのが、なかなか「死語」にならない「ナウい」という言葉。
その死なない理由を知り、面白いと思いました。
ところで、日本で最初に作られた日本語辞書についてもこの番組では詳しく解説していました。
1875年、時は明治時代の初期です。
日本の近代化のために官製辞書を作る目的で、当時の文部省からその編纂者に命じられたのが 大槻文彦 (1847~1927)。
ところが、日本語を統一すると言う事業は想像を絶した困難なものだったようで、大槻は日本語を編纂するに当たって「発音」「品詞」「語源」「語釈」「出典」の五項目を徹底的に調べ上げたので、編纂事業が 12年間の長期にわたったようです。
そうして大苦労して編纂された原稿は、「新撰日本字書 『言海』」と名づけられ文部省に提出。
ところが、それを出版する動きがなかったようです。
そこで、大槻は「自費出版」という形をとり、私財を投げ打ち、家族が犠牲になるほどに資金集めに奔走し、推敲と校正に没頭したようです。
こうして収録項目が およそ 4万という『言海 全四冊』が完成したのが 1891年。
実に 17年もかけた自費出版の刊行祝賀式には、当時の総理大臣 伊藤博文をはじめ 榎本武揚 (えのもと たけあき) など、壮々たる人物が駆けつけたと言います。
こうした伝説的な人物のお蔭で、今の国語が「確定」していったわけです。
もちろん「確定」したといっても「固定」しているわけではなく、さまざまな解釈があり、時代とともに変化していくものですね。
再放送の機会があったら、是非、ご覧下さい。
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