独りよがりの職人気質
新社会人になった長女。
学生時代とは勝手が違い、帰宅するなり溜め息を漏らしていました。
それを見ていた社会人 5年目の次男坊。
「お姉さんは、まだまだ。3年間は半人前。これからだ ! !」なんて、一人前のことを言っていました。
確かに、入社をして一人前の仕事が出来るようになるまでには、会社や先輩たちのお世話になるわけでね。
こうして仕事を効率的にこなしたり、高度なものに仕上げるために、経験を重ねて、その技のカンやコツを習得するわけです。
ところが、ある程度の経験を積むと、自分の技量に陶酔する人がいます。
「自分って天才ではないだろうか ! ? 」なんてね。
確かに、飲み込みの早い人の中には、他人よりも速く上達する人がいます。
そうして、コンクールなどで賞を取ってくるのですが、小生のような引退間近の人間から見れば、早熟な人ほど謙虚でなければならないと思います。
天狗になる人は、没落するのも早い傾向があるような気がします。
特に、職人気質 (かたぎ)の人に、そんな傾向があると思いますよ。
特殊な技術が必要な仕事、たとえばスポーツ選手とか音楽家、システムエンジニアなどの場合、その素質がないと大成しないものがあると思います。
逆に、政治家などは年齢など関係がないと思うことがあります。
また、バイリンガルになるには 10歳までとか、ピアノは 4歳前から始めないと間に合わない・・・などと言われますね。
つまり、高度な技を体得するには、その素質とか開始年齢とか、周囲の環境とかも関係するようで、その人の努力だけの問題だけではなさそうです。
小生の仕事は鍛冶屋なんですが、小生は、この仕事の開始年齢は 18歳では遅いと思っています。
そうして、その仕事のカンやコツを覚えると、人間は高慢に陥りやすいのですが、仕事の目的は「後進の育成」で、そのためには「高度な技」と「人格」が必要だと思います。
ここで言う「人格」とは「人柄」「魅力」ですね。
つまり、どんなに人格者であっても、その仕事のための「高度な技」を持っていなければ、指導できません。
と同時に、どんなに高度な技を持ち合わせていても、「人格者」でなければ、後進はついてきません。
最近、小生はそう思うようになったのです。
もはや、「俺の技に惚れ込んできた奴なら弟子にしてやっても良い・・・」なんていう時代ではないのですね。
重ねて言いますが、ここで言う「人格者」とは、信仰に篤い人とか道徳的な人とかを指すのではなく、「愛情」のある人です。
逆に「良い人」は「人格者」ではないと思うのですね。
他人から良い人に思われたいと思っている人は信用が出来ませんから。
そういうわけで、大酒飲みでもギャンブラーでもいいと思います。
とにかく本気で、後進を「育てよう」という気持ちがあれば、自ずと人は付いてくるものだと思います。
そうした「親分肌」の人が少なくなったのが、日本を寂しくしている一因だと思うのですね。
「俺って天才・・・かも」なんて思う間は、まだまだ・・・
と、社会人 11年目の長男が次男坊に言っていました。
ということは、小生は まだまだ・・・と言うことになります。
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