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SAYONARA JAPAN - 5

金融緩和の副作用

今朝の新聞を見ると、麻生太郎財務兼金融担当相は、今年度の補正予算確保のために、赤字国債の増発の検討に入ったことを伝えていました。

赤字国債とは、本来、財政法では認められないものなんですが ( 財政法 第4条 )、歳入不足を補うために、毎年、特例法案を通過させて発行を続けています。
その累積「赤字」は、709兆円に膨らんでいることを、このブログで記しましたね。

そういうわけで、無制限に赤字を増やすことを防ぐために、前政権であった民主党は、一年間に発行する新たな国債を 44兆円以下とするルールを設けていました。

ところが麻生大臣は、そのルールに拘らないことを、昨日、表明したそうです。

しかし、前回でも述べたように、国の借金である国債の大量発行は、財政への信頼を損ね、国債の暴落、国債金利の上昇を招き、結局、財政が破綻することを招きかねない行為なんですね。

こうした財務省が発行する国債の 75パーセントは、日銀や日本国内の銀行が保有していることになっているそうですが、本来、日銀は日本国債を引き受けてはいけないことになっています。 ( 財政法 第5条 )
中央銀行がその国の国債を買うということは、それを元に市場に大量の通貨が出回ることになり、悪性のインフレを起こし、通貨の信用を損ねてしまうことになるからです。

しかし、現実に日銀は、銀行から国債という金融商品を買い続けています。
どうやら、直接、財務省から引き受けなければ良いみたいですね。

日銀は、今月 20日、日本国債の買い入れ規模の拡大を発表しました。
今年に入って、既に 5回目です。
今年だけでも、日銀が買い入れた長期国債の額は、40兆円を超えてしまっています。
これは、今年新たに発行した国債の 9割を買い戻したということになりますね。
このようにして 2001年から日銀が行ってきた量的緩和策の結果、日銀が保有する国債は 80兆円を超えてしまっているようです。
・・・・世界では、ありえない現象です。

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(日銀の長期国債保有額 『 NHK スペシャル - 日本国債』より )

つまり、国内市場ではまかない切れないので、日銀が買い支えているということは、それだけでも既に財政収支のバランスが崩れていることを示し、貨幣の価値を貶めているという意味を持ちます。
しかし、それでも日本国債が信頼されているのは、まだまだ日本には潤沢な資金があり、さらに日本国債に代わる優良な金融商品が、今のところ見当たらない・・・という観測があるからです。
さらに言えば、「日本政府が大丈夫だと言っているのだから、大丈夫なんだろう。」という具合に。

しかし、その観測が変わって、日本国債が大量に売り出されたら、日本の財政は破綻してしまいます。
金融緩和とは、景気を刺激する反面、そうしたリスクもある両刀の刃なんですね。

こうして政府が赤字国債に頼る態度を示すと、前々回にも紹介したように、海外のヘッジファンドが、マネーゲームを仕掛けてくるかもしれませんよ。
そうなれば、日本はまっとうな方策を失うことになり、歴史の教訓を省みないで、再び過ちを起こすかもしれません。

それが、たとえば戦前のような「富国強兵」政策。
軍需産業を興し、拡大政策を採るという愚行です。
経済は一時 持ち直すでしょうが、その後は悲惨です。

あるいは、昔、日本の村にあったとされる「人生定年制」。
還暦を迎えた人は、皆、姨捨山に入ってもらう・・・
お年寄りの反発が予想されそうですね。
そうなると、小生は数年の命です。
死刑判決を受けたみたいで嫌ですね。
しかし、昔の人は、そして世代をつないできたもの事実。


そんな、戦争級のショックがなければ立ち直れないのかもしれませんね。

SAYONARA JAPAN ! !

そう叫ぶ日が来ないように、注意したいものです。

以上で、国債に関する記事は終了します。
次回は、海外に流れている日本の労働力について考えてみます。

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