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プールの中の使用済み核燃料

浜岡原発が全停止しても

菅首相の要請で全停止した浜岡原発。
これで一安心・・・と思っている静岡県民は多いと思います。

ところが、昨日の『静岡新聞』の記事を読むと、安心なんてしていられないのですね。

つまり、使用済み核燃料の脅威は福島第一原発だけでなく、全停止した浜岡原発にも潜んでいるという事実が公表されました。
この昨日の記事は、唐突な感じがしましたが、今朝の『静岡新聞』の記事は、使用済み核燃料が冷却保管されているプールの現況について、さらに詳しく解説していました。

この記事は、是非、静岡県民だけではなく、全国の人にも読んでいただきたいと思います。
できれば、『静岡新聞』を購読してもらいたいところですが、それが出来ない人も多いと思いますので、今回も、本日の朝刊の記事を引用したいと思います。

続 浜岡原発の選択 5

核燃料 ②

プール埋める「使用済み」

 街中が師走の慌しさに包まれていた。1994年 12月 3日の午後 11時半。旧浜岡町 ( 現 御前崎市 ) 佐倉の中部電力浜岡原発 1号機の中央制御室の空気は張り詰めていた。排ガスの放射能を監視しているモニターの指示値が徐々に上昇していた。四つのモニターはいずれも異常値を示す。監視装置の故障でないことは明らかだった。
 排気筒から放出されている希ガスの放射能の値は翌 4日には、平常時の 2倍に達した。許容される値の数万分の 1とはいえ、平常運転を上回る放射性物質が発電所の外部に漏れたことは事実だった。
 中電は 4日午前 7時 25分、県と浜岡町など地元 5町に異常事態を通報した。当時、浜岡町長だった本間義明さん (83) = 御前崎市池新田 = は「放射能が建屋の外に漏れるのは許しがたいことだった」と振り返る。
 自他共に認める原発推進派。それでも、時として中電の幹部を厳しく叱責することがあった。「放射能がちっとでも外に漏れたら、風評被害につながってしまう。いくら微量でもお茶や魚が売れなくなる」
 放射能洩れの原因は、原子炉内で使用中だった 1体の燃料。被覆管の表面に、髪の毛の直径ほどの小さな穴 ( ピンホール ) が開いていた。核分裂て発生し、被覆管内にたまつていた強い放射能を持つ放射性物質が漏れ出した。燃料に開いた開いたほんのわずかな穴が、取り返しの付かない風評被害を招きかねなかった。
 損傷燃料は原子炉から引き抜かれ、建屋内の燃料プールに運ばれた。再び原子炉で使用されることはなかった。
 17年経った今も燃料プールの中に 1体だけ残されている。事実を知った本間元町長は「そりゃあ知らんけんな・・・」と絶句した。
 原子炉だけでなく、燃料プールが冷やせなくなっても重大事故が起きる。東京電力の福島第一原発の事故は、見過ごされがちだった脅威をさらけ出した。
 運転は止まっていても、浜岡原発 3~5号機の燃料プールには 計 5,460体の燃料がある。 1、2号機は、千ガルの地振動に耐えられるようにする「耐震裕度向上工事」を中電が断念。2009年 1月に 約 30年にわたる運転を終了した。
 3~5号機と比べて、耐震性に劣るといえるが、2号機の燃料プールにも 1164体の燃料が残っている。1~5豪気を合わせると、プールで保管している使用済み燃料の数は 6,625体。「住民の安心のためにも まずは一刻も早く 1、2号機の燃料プールを空にすべきだ」。本間元町長の語気に力がこもる。「受け入れ当時から原発は『トイレのないマンション』といわれてきた。30年以上たってもそれが解決していないのは、国の責任。( 使用済み燃料に含まれる ) プルトニウムを地元の発電所にためないようにしてくれなきゃ」
 現役時代、原発推進の矢面に立つ代わりに、国や中電に厳しい注文を付けてきた。福島第一原発事故と浜岡原発の燃料プールの現状を目の当たりにして、国や中電を監視する目が一層厳しさを増している。( 浜岡原発問題取材班 )

使用済み燃料プール
原子炉で使い終わった高い放射能を帯びた使用済み燃料を、冷やしながら一時的に保管しておくための水槽。一般に原子炉建屋内にある。大きさは縦横 10メートル前後、深さ 12メートル程度。水が放射線を遮蔽する性質も利用している。あくまで一時的保管のための水槽で、数年たって発熱量が下がった使用済み燃料は速やかに再処理工場など敷地外に運び出されることが望ましいとされる。使用済み燃料だけでなく、原子炉に入れる前の新燃料も保管している。

Photo

【『静岡新聞』 2011年 7月 29日 朝刊 】

こうしてみると、菅総理が浜岡原発に全停止を要請したことは英断だ・・・と評価した川勝静岡県知事や、スズキの鈴木 修会長の意見は正しかったと思います。

小生は産業人の一人ですから、政府の原子力推進政策には賛成する立場でした。
しかし、今回の福島第一原発の事故や浜岡原発の事故を受けて、原子力は産業エネルギーの選択肢から外すべきだと思っています。
それでもなお、原子力を諦めきれない人は、エネルギー権益を特段に享受している人だと思います。
でも、普段の仕事中にそんなことを言ったら、仕事に影響が起きて、生活ができなくなるでしょう。
それほど日本の産業界は、エネルギー権益団と密接な関係があると思います。
しかし、こうした匿名のブログでは‘ホンネ’を書くことが出来ます。

中部電力は、浜岡原発を津波災害から守るために、莫大なお金をかけて防波堤などを築くといいますが、それは、原発の再稼動のためではなく、危険な状態に陥る可能性がある使用済み核燃料プールを守るためのものである・・・と認識するものです。
福島県民と同様に、多くの静岡県民のホンネは「脱原発」であることは、間違いないと思われます。

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コメント

初めまして。静岡在住の主婦です。

〉1〜5豪気を合わせると、プールで保管している使用済み燃料の数は 6,625体。
こんなに保管してるんだ。。

先日の地震の時、浜岡原発に事故がなかったか直ぐ心配しました。

停止してても使用済み燃料棒がある(どこの原発も)だろうし、一定期間冷やさなければやらないことは福島原発事故で学びました。

電源喪失したら停止している浜岡原発だって放射能洩れ起こすでしょう。

内は静岡新聞でないのでこの記事を知って良かったです。

投稿: 薫 | 2011年8月 4日 (木) 08時38分

薫さま、いらっしゃいませ。
コメントをありがとうございます。
さて、『静岡新聞』の この一連の連載企画記事は本日も第一面を飾っていました。
いままで、こうした情報を知らされていなかったことは、驚きですね。
一連の記事で、核燃料は原子炉の中でも外でも危ないものであることが よく分りますね。
我々の世代が、こうした厄介なものを子孫に残すことについては、恥ずべきことだと思います。
家内も、子や孫の健康が心配だと言います。
この記事は、@エスでもご覧になることが出来るようです。

投稿: あらま | 2011年8月 4日 (木) 21時31分

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