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陛下の要人会見

国事行為 か 公的行為 か

最近、陛下の国事行為について記事を書いたら、たくさんの方からご訪問を戴いております。
この件について、多くの人が関心を持っていることが伺えます。
当然、この記事に対するスバムコメントも増えています。
( スバムコメントは、削除しています )

ところで、昨晩の『静岡新聞』夕刊の中に、「要人会見は天皇国事行為か」 と題する記事があり、「外国要人との会見自体が政治的性質を帯びている。国事行為であれ、公的行為であれ内閣が責任を持って、助言、承認するのは当然だ。」と話す 某憲法学者の意見が載っていました。

確かに、ネットで検索してみても、「公的行為は国事行為に準ずるものだから、内閣が助言し承認し、責任を負うものである」と記した論文が見つかります。

しかし、陛下の公的行為国事行為とは別なもので、公的行為に関しては 内閣は責任を負うだけで、助言も承認もしない・・・という意見が圧倒的に占めています。
実際の運用面でも、自民党政権の下、宮内庁はその方針でやってきたようですね。

とにかく、陛下の件に関しては、微妙な要素がたくさん含まれていますから、以前から タブー視 されてきて、論じられないまま現在に至っていることも事実です。

しかし、それ以上に、陛下の国事行為を記した 日本国憲法 自体が 外から押し付けられた憲法であることが 解釈を困難にしている原因だとも思います。

例えば、憲法3条 と 第4条は

第3条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

第4条   天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

その英文は、

<p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p>THE CONSTITUTION OF JAPAN</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p>

Article 3. The advice and approval of the Cabinet shall be required for all acts of the Emperor in matters of state, and the Cabinet shall be responsible therefor.

Article 4.  The Emperor shall perform only such acts in matters of state as are provided for in the Constitution and he shall not have powers related to government.
    The Emperor may delegate the performance of his acts in matters of state as may be provided by law. 

そして、マッカーサー草案では

Article III. The advice and consent of the Cabinet shall be required for all acts of the Emperor in matters of state, the Cabinet shall be responsible therefor.
   The Emperor shall perform only such state functions as are provided for in this Constitution. He shall have no governmental powers, nor shall he assume nor be granted such powers.
   The Emperor may delegate his functions in such manner as may be provided by law.

・・・なんて、記されています。
こんなふうに記されてしまうと、訳すに困っちゃいますね。
仕方がないので、現憲法は 直訳してしまったのでしょう。
しかし、マッカーサー草案を読むと、意味が明確で、当時の進駐軍が、天皇の国事行為について どんな位置づけをしようとしていたかが分りますね。
つまり、機関としての天皇の存在というよりも、むしろ、君臨すれども統治しない 立憲君主 である立場を示していると思います。

とにかく、マッカーサー草案では、天皇の国事行為には、内閣の同意が必要とされていたのでしたが、それが実際の憲法では 内閣の承認 に入れ替わったということは、天皇は国事行為に関して 内閣に絶対服従ではないということだと思います。つまり、天皇の国事行為には主体性が含まれているということです。

ところが、日本語に訳すと、天皇は国事行為については「拒否権がない」という解釈になるわけですね。

まず、ここがおかしいですね。

さらに、第7条 で、同じような文言が出てきてしまい、天皇の matters of state は、国事行為として規定されてしまったわけです。ですから、憲法で記されていない それ以外の matters of state は、国事行為でないという解釈をせざるを得ないわけですね。

そうした国事行為以外の acts が、天皇の公的行為として、内閣のアドバイスもアプローバルも不要という理屈になったと思います。ようやくここで、天皇の主体性が認められるわけです。

他にもツッコミどころ満載なんですが、なんとも分りづらいですね。

いずれにしても、天皇の仕事は国事行為のみと言っても、国事行為以外の公的行為が当然必要で、公的行為国事行為ではないから 内閣の助言承認も要らないという理屈に発展してしまうのでしょう。

訳文を解釈するから こんなことになる。やはり、自主憲法は必要ということなんでしょう。

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コメント

激しく同意。

憲法もそれを読む憲法学者の解釈も、矛盾しまくってることを承知で「これはこう読むんだ!」と思い込むしかないレベルにまで達してしまっている。しかもそれをそれで通している現在の大学教育に唖然呆然としているここ最近^^;

小沢さん的に言えば「公的行為?それ法律に書いてあるの?憲法に書いてあるの?あんた憲法読んだことあるの?あんたの勝手な解釈じゃないか。第4条に「のみ」ってあるの読めないの?あんたの発言は憲法をないがしろにして民主主義の根幹を揺るがしている!」

もはや手に負えないレベルまで来てしまっていますが、地道に自主憲法の道を模索します。

投稿: ある大学生 | 2009年12月17日 (木) 04時23分

ある大学生さま、おひさしぶりです。
小生も、自己矛盾を感じながら、この駄文を記したわけですが、日本国憲法が「理想論」であって、現実的な運用では様々な矛盾が生じていることが改めて分りました。
そこで、小沢のような不敬の輩が勝手な解釈を強要するわけですね。
小沢 > 政府 > 天皇 の構図が明確です。

さて、こうした矛盾に満ちた憲法を、陛下は遵守されていて、象徴天皇とはどんな姿であろうかとご苦労されている様子が痛いほど分ります。
そのなかで、公的行為が唯一、主体性が発揮できるので、陛下は進んで 「災害地慰問」「戦没者供養の旅」を実現され、さらに内外に高度な文化交流を進められておられるようですね。
「公平無私」とは、まさしく陛下のお姿だと思います。

憲法を遵守される陛下に対して、憲法を曲解してそれを利用する小沢。
今度は、首相を恫喝して、暫定税率を廃止させないということで、党の公約を破棄させたようですね。

どうにも止まらない小沢幹事長。

今に、小沢でなければ人にあらず・・・という時代を築くのでしょうか ?

投稿: あらま | 2009年12月17日 (木) 09時34分

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