« 戦後のドサクサ | トップページ | すりあわせ »

奉公滅私

懐古するわけではないけれど・・・

小生は十代で鍛冶屋に入りました。

本当は中卒で入れと言われたのですが、当時は高校進学率が 90%のころでしたので、せめて高校ぐらい出ておいたほうがよいということでした。

職人さんの世界は徒弟制度。先輩の言うことには“絶対服従”でした。

朝は始業前から準備をします。火を焚き、お湯を沸かし、油を確認し、“ろくろ”を回しておきます。

“ろくろ”とは、動力をベルトで分け合うしくみ。

先輩たちが働きやすいように準備をするわけですね。もちろんサービスです。

材料や製品を運び、“キリコ”(切りくず)などの掃除。そんな下働きをするのですね。

その間、先輩の仕事、キリコを見ては、技を盗みます。

とにかく嫌なことでも「ハイハイ」と、従います。

そうすると、先輩たちに可愛がってもらえます。

給料が安いなんて言えません。とにかく一人前になりたい・・・と、思ったものです。

知らない間に、技が身につき、それに応じて仕事を任せてもらえるようになります。

ところがです。突然、異変が起こりました。

NCの登場です。つまり、コンピューター制御です。

今まで使ってきた“倣い旋盤”がなくなり、溶接も“半自動”が出現しました。

古い職人さんの技が通用しなくなってしまいました。

加えて段取りが複雑になり、中高年は邪魔者扱いを受けるようになるのですね。

また、大学出の二代目サンの登場です。

古い職人さんたちと対立するのですね。

その間に、技術の進歩はめざましく、世の中の動きが加速します。

仕事も“標準化”され、職人の“カンとコツ”が、二代目サンによって排除されるようになったのですね。

また、アウトソーシングです。安い賃金で雇用してコストの削減を図るのですね。

産業の空洞化の始まりでした。そして、技術の伝承の終焉でした。

いま、団塊の世代のリタイアをむかえ、その空洞を埋めることが焦眉の急となりました。

職人の“カンとコツ”が見直されています。

しかし、汚くて、キツクて、嫌な仕事をする若者なんて、なかなか定着しません。

“従う”ことに、慣れていないのですね。自分の思い通りに、また気に入らないとなるとすぐ辞めてしまう。

そこで、若者を厚遇で集めて、職人さんの技術を受け継いでもらおうとお願いするわけですね。

小生の小僧の頃とは正反対。

技とは、“盗む”のではなくて、覚えてもらうように“お願い”するものになってしまったのですね ! ?

|

« 戦後のドサクサ | トップページ | すりあわせ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

あらま様 まずお年はいくつなのでしょうか?読みますと、私より数歳上のように思えます。
書いてあることにご異議はありません。

投稿: 佐為 | 2006年9月24日 (日) 22時33分

佐為さま、驚きました。
書き終えた瞬間にコメントをいただきました。
いま、「スタメン、“勝ち逃げ”団塊世代に突っ込み・・・甘すぎた子育てと、お得な年金に批判続出」というテレビ番組を見ています。
小生は、団塊の世代を突っ込む、新人類ですよ。
お手柔らかに・・・。

投稿: あらま | 2006年9月24日 (日) 22時50分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/131161/12025695

この記事へのトラックバック一覧です: 奉公滅私:

« 戦後のドサクサ | トップページ | すりあわせ »