周知不徹底認める=経済産業省
電気用品安全法で「PSEマーク」が付いていない家電製品(259品目)の販売が4月から禁止される問題について、経済産業省は10日、都内で開かれた中古品販売業者らに対する説明会で、「古物商の方々に(所管の)警察を通じて周知したのは2月からだった」と説明し、業者からの問い合わせが増えるまで、周知を徹底していなかったことを認めた。
経産省は、法律施行前の2000年度から、メーカーや量販店などの業界団体にパンフレットを配ったり、講習会を開いたりしてきたが、中古品販売業者は個人経営が多いことなどから対応が遅れたという。
販売禁止には法律施行から5年の猶予期間があるが、影響の大きい中古品販売業者が知ったのは、ごく最近だった。説明会に来た業者からは「どうして直前まで周知しなかったのか」などと抗議の声が上がった。
経産省の杉山秀二次官は9日の記者会見で、「きちんとした周知徹底をもっと早めに行うべきだった」と、対応の遅れを認めている。 【読売新聞 - 3月10日】
確かに周知徹底が遅れたことは否めず、中古品の不法投棄の加速など、社会的な問題の発生が予想されます。
何よりも、「もったいない」ですね。
しかし、この法律が作られた背景をもう一度考えてみましょう。
これは、相次ぐ家電の漏電事故から起因します。
感電したり火災が発生したり。その漏電の原因は、単に金属疲労、経年劣化だけではないですね。
中古業者のみならず、電気関係の方なら知っていると思いますが、日本国内に出回っている電化製品やその部品などは、低賃金の国からの輸入品が占めています。
今でこそ、そうした国の品質管理が徹底して、不良品が少なくなりましたが、以前の輸入製品やその部品を使った家電製品を分解してみますと、驚くほど粗雑でした。
一応、検査マークは貼られていますが、とてもまともな検査をしたとは思えないものがあり、そうした製品の見極めは、外観から見ただけでは困難ですね。そうした危険の可能性のあるモノの流通を防ぐために、こうした法律が作られたわけですね。
ですから、古物商がこれを知らなかったということは、プロではないですね。知らなかったことを担当省に責めることはお門違いだと思います。
また、古物商らからの批判に対して、それをスンナリ認めてしまった担当官も不勉強だと思います。この法律の由来を知らなすぎます。
次は、配線部品などが対象となり、それを使った産業機械、自動車、家具なども対象となります。産業全体が、今からそれに備えなくてはなりません。あとで、「知らなかった」では済まされませんね。
この法律は、福祉、高齢化社会の国民生活の安全を守るためには必要な法律ですから、法律通りに施行されるべきですね。
よく、「大企業や役人さんのための法律」という批判がありますが、そうではなくて、実は消費者の声に対応した法律であることを再度確認しましょう。
【追記 3月12日】
この法律の由来が「規制緩和」によるものというブログをみました。産経新聞の解説からの引用ですね。確かに「規制緩和」が一因かもしれませんが、やはり目的は消費者保護だと思います。
拙宅の例をあげてみます。
昨年ようやく、25年住宅ローンが終わりました。しかし、木造住宅の疲労は激しく、昨年、風呂や便所をリフォームしました。
水洗便所の鋳物の管が割れていて、そこから汚物が流出していました。また、風呂の窓のサンは、すっかり虫に食われて、サッシのフレームだけが残っていた状態でした。
リフォームのときに、同時に、家中の全てのコンセントと配線を取り替えました。25年経過しても、新品のように見える配線も、一皮剥けば錆びているところもありました。また、コンセントは、ほこりがつまっていたり、施行時にしっかりと工事していなかったと思われる箇所も発見し、点検ではなく、よくも悪くも、全て取り替えました。
こうしたことは、やってみて初めて分かることですね。
電化製品も、自動車も、5年、10年の検査をして発売するわけではないですね。ただ、ノウハウは蓄積していて、それから推して安全だろうということで、5年、10年と使用していること自体が、寿命実験をしていることと同じですね。
しかし、火災が起きるまで実験を続けるのは危険ではないでしょうか。火事になってはては遅いのですね。
ですから、使えるようでも、危険と思われる要素があれば取り除くという考え方は、必要ではないでしょうか。
BSEの可能性があれば、その国の牛肉の全ての輸入を停止するという考え方と同じだと思います。
しかし、確かにもったいない考え方ですね。「もったいない」を選ぶか、「リスクを避ける」を選ぶか。火事になったあと、どんなに悔やんでも遅いではないでしょうか。
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